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わしゃわしゃ
わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ
耳元でそんなさっきからずっと音が聞こえていた。あーなんかわしゃわしゃいってんなー。何の音だろ。
どこか他人事のように処理しようとしている自分がいることに気づいた。だって受け入れられないんだよ、これ。不貞腐れたように尋ねてきた自身に言い返す。
いや、なんか突っぱねる完全に意味がわからない状況に陥ると、人間って機能停止するんだ。逃げ出さないとならない状況だろうが、思考回路のブレーカーがぷつんって落ちてしまうんだ。主電源を落とされると、もうどうしようもない。
わしゃわしゃわしゃわしゃ
これを俗にフリーズ状態っていうんだろうな。まさしくそれ。空から女の子が降ってきた漫画とか最近見たけど、主人公もこんな気分を味わったんだろうか。理解不能。繋ぐ回路に走る電流は打ち切られた。
電源ボタンを探る手つきまで怪しいものだ。真っ白な思考から帰ってきたくないのかもしれない。それぐらい状況がつかめなかった。え?なんで俺こんな目にあってるの?
わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ
「あははー坊ちゃんかわいいー」
面白そうな声がきっかけで、指先が、スイッチに触れた。
「ええいっ!やめんかっ!」
そうして俺はやっと髪の毛をぐちゃぐちゃになでまくってくる腕を強く払いのけた。
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