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わしゃわしゃ

俺の髪の毛を気の向くままに乱しまくった赤松の表情はとても満足げだ。 そりゃ好き勝手にぐっちゃぐちゃにしてくれたもんな!まだ満足いってないとか言われたら俺怒っちゃうぞ! 「理由を述べろ。なぜ俺の髪の毛を撫でくり回したのか。15文字以内で」 「急に撫でたくなっちゃいましたー」 畜生ちゃんと15文字以内でおさめてくるのが妙に腹がたつ!怒鳴り散らすきっかけが失われてしまった。てかそれぐらいの理由で怒ろうとしていたなんて俺どんだけ短気? 「可愛いもの見たら撫でたくなるのが人間ってもんですよー」 赤松がへらへら後頭部に手をまわしながら言う。 あーでもなんかわかるわー。 俺だって兎とか猫とか見かけたら無遠慮に撫で撫でしたくなるもんなー。むちゃくちゃになでまくるからよく噛まれるんだよな。あれ結構悲しい… 「って別の話題にすり変わろうとしてんじゃねえか!」 赤松の漏らした聞き捨てならない本音を聞き流すところだった!俺は騙されんぞ!流されないぞ! 本来なら後ろにあるはずの髪の毛が前にきている。うっとおしいのではねのけた。適当にヘアスタイルを整えなおす。視界が開けてきた。 ぎろりっと改めて赤松を睨むと余計に奴の嘲笑が見えてなおのことイライラした。

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