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アンダーウェアに理想論

無事侵入を果たした二人は呼吸音と足音を抑えて部屋に踏み入る。中に人はいないとわかってはいるものの、万が一のためがある。何度も言うが、どうしてその高レベルなスキルを別のことに生かそうとしないのか。 千晴の部屋は綺麗に片付けられている……と思いきや靴下やパジャマが雑にベッドに投げられていた。本棚には漫画や参考書が詰められ、ゲームソフトのタイトルが連なっている。普通の男子高校生らしい内装だ。 しかし変態二人は普通の風景でも、それが千晴に関することならなんでもときめくことができる能力を持っている。そんな場が限られるスキル、無駄としか言えない。 忍び込んでるという背徳感や興奮が押し寄せてるはずだが、二人の顔つきに変化は見られなかった。内心めちゃくちゃ高ぶっている。ポーカーフェイスが得意の甲斐田と、へらへら笑いが常の赤松は割といいコンビである。 「いやーなんか坊ちゃんの部屋ってだけでドキドキするねー 」 赤松はまったく緊張を感じさせない声音でのほほんと口を開く。 「男の子なのにいい匂いするっていうかー坊ちゃん独特の柔らかい香りたまんないですねー甲斐田さん」 「ここで千晴様は起床されパジャマを脱ぎ捨て華奢な上半身を晒し制服に身を包んだり必死に勉強をしたりベッドに転がってゲームをして漫画を見たりテレビを鑑賞したりして存分に寛いだり無防備に眠ったりしてるわけですね呼吸が正常に戻りません血圧が限界突破」 「うわぁなんか負けたきがするーなにかで負けた気がするよ……」 真顔でまくしたてられ、赤松は妙な敗北感に苦笑を向けた。

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