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「ほら、舐めて」 その言葉とともに差し出されたのは、オズの指だった。散々舌で解されたんだから、もう入れれるのに、なんて考えながらも差し出された指に舌を這わせる。 指先から舐め上げたり、唇を這わせたり、爪にキスを落としてみたりと、この2年で覚えたオズの喜ぶやり方を駆使して彼の指を可愛がった。 「セルジオ」 そう呼ばれて、指に舌を絡ませたまま顔を上げると、熱の籠った欲情した目と視線がぶつかった。ギラついたその瞳に射抜かれて、俺は動けなくなる。 そのまま見つめあっていると、俺が舐めていた指は、口内に入り込んできて好き勝手に動き始めた。舌を摘んだり、優しく擦ってみたり、軽く爪を立てたり……どちらかというと、俺が握っていたはずの主導権はすっかりオズに奪われて、口内を犯すその手指に翻弄される。 視線を交わしたまま、大きく開けた口に指を突っ込まれている状態はどうにも恥ずかしくて、目を逸らす。しかし、それはダメだ、というように、すかさず上顎をなぞられる。 あまり触れられることのないそこは、軽く撫でられただけで、痺れるような鋭い刺激が走り、その快楽が俺を支配した。震える体を抑えるため、目をぎゅっと瞑る。それなのに。 「セルジオ、目開けて俺を見てて」 そんなに甘い声で強請られたら、従うしかないじゃないか。 薄く目を開け、オズの顔を見る。すぐに優しい笑顔を返されて、見慣れたはずのそれに、心がときめいた。やっぱりかっこいいなあ…… 「ほら見て、セルジオのお陰でこんなにぬるぬるになった」 見惚れてる俺に、オズが見せつけてきたのは、唾液がまとわりついた指。そんなもの見せつけられると恥ずかしいからやめて欲しい。 「それを、ここに」 そう言って、その指をぐっと俺の中に押し込んだ。 「あぁあっ」 オズは俺の中に入れた指をゆっくり動かしながら続ける。 「ここでも、キスしてるね」 「……え?」 「ここで、セルジオの唾液と俺の唾液が混ざって、キスしてる」 「……、っ……へんた、んんっ!」 意味を理解して、変態! と半ば叫ぶように言おうとした俺の口はオズワルドの口で塞がれた。遠慮なく舌が侵入してきて、それこそ俺とこいつの唾液が混ざる。キスが深くなるにつれ、中を探る指の動きも大胆になる。 「ん、んむぅっ、んんっ」 だんだん苦しくなってきて、もうだめ、と思った時に唇を解放された。はー、はーっと呼吸を整える俺を見ながらオズはニヤニヤと笑っている。 「上と下で同時キス」 「……」 変態オヤジでも言わないであろうことを本当に嬉しそうな顔で呟くこいつを、さっきまでかっこいいなんて思ってたのが、悔しい。 「お前、ほんと変態」 軽く睨むようにして言った俺を見ても、オズは平然としていて、それどころか、 「でもそんな俺が好きでしょ?」 と、言い放った。オズは好きだけど、俺が好きなのは別に変態なオズじゃなくて……なんて考えていると、中に入っていた指が、俺の感じる所ばかりを擦り出した。 「あっ、あぅっ、んっ、んんぅ」 「それに、変態な俺に触られて、可愛い声上げて感じてるセルジオも、変態でしょ」 そんな謎理論を持ち出されても、ダイレクトに響く快感に思考を絡め取られた俺には、もうどうでもいい。 「ああっ、あ、はっ、んっ」 オズに与えられる悦楽に溺れはじめた俺を見て、オズがふっと笑う。 「やっぱり1番エロいのはセルジオだよ」

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