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「ああっ、あ、ん、んんうぅっ」
オズの長い指で、感じる所を擦られたり、とんとんと弾むように押されて、俺はもう限界だった。
「あぁぁああっ、いく、いくっ……オズっ」
気持ちよくて、もうその快感を追って高みに昇りつめることしか考えられない。それなのに、昨日と同様、もうイク、と体が硬直し始め、視界の端に星が散り始めたときに指は抜かれてしまった。
「っ、はぁっ……、いじわる……」
「足りない?」
「……」
そんな、聞かなくてもわかるだろう問いを投げかけられても、素直になんて答えられない。だから視線を外し黙って弾んだ息を整えた。
「もっと気持ちよくなりたい?」
「……」
「セルジオ?」
当たり前じゃないか。寸止め、みたいなことされて、物足りないに決まってる。はやく、もっと触って欲しい。
「……なりたい」
消え入るような本当に小さな声でそう呟いたのを、オズワルドは聞き逃さなかったようだ。わかった、と頷くと、俺の手をぐいっと引いて俺を起こすと、入れ替わるみたいに自分は後ろに倒れた。
体を俺の下に滑り込ませたオズはこちらを見上げて言う。
「じゃあ、自分で入れて、気持ちよくなれるように動いてごらん?」
つまりは、騎乗位。今までだって何度かしたことはある。けれど、前はオズが動いてくれていた。自分で腰を振って快楽を追う姿を晒すのは流石に……恥ずかし過ぎる。
「お前……動いてくれないの?」
「セルジオが動いてくれるのが見たいんだ。それに俺がしちゃったら、また昨日みたいにするかもしれないよ」
縋るように尋ねてみたものの、求める答えは得られない。確かに、せっかく2人で過ごせる休日を性交の疲れを癒すためだけに費やすことになるのも勿体ない。
これ以上焦らされても困るし、もう仕方がない。そう腹を決め、少し腰を浮かせてオズの屹立したものを支え、自分の後ろに宛がった。
ぐっと体重をかけて、ゆっくりと先端を受け入れる。熱いものが押し入ってくる感覚に、ぶるりと身体が震えた。は、と熱い息を吐き出して、オズの胸に両手を置く。
掌から、オズの鼓動が伝わってくる気がする。どく、どくと脈打つそれは、彼のものなのか、それとも、自分のものなのか。
なんとなく確かめたくなった俺は、胸に耳を当てた。オズも、押し付けるようにして俺の頭を抱えてくれる。少し汗ばんでしっとりした温かい肌を頬に感じながら、オズの脈動の音に耳を澄ませる。
彼の心臓は、とくん、とくん、と規則正しく、時を刻むように動いている。生きてるって実感が湧き上がった。今この時間をオズと2人で生きてるんだ。その事実に不思議と酷く安心した。
安心感で少し力が抜けた体に、オズのものが意図せず深く入り込んだ。
「ああぁぁっ」
最奥を抉られ、びくりと体を揺らした俺を宥めるように、オズの手が俺の頭を撫でる。もう少し動かずに、この一体感を感じていたい。その思いを感じ取ったのか、オズも手を止めずに、髪を梳くような動きで頭を撫で続けてくれる。じんわりと暖かい何かが身体中に行き渡る。すごく、幸せだ。
ぺたりと体をオズに重ねたまま、溢れ出す多幸感にしばらく身を委ねた。
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