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第5話

「はい、典之さん?えぇ、そうね。今度はいつ?分かったわ。ヨシヤス?いるわよ。えぇ」 義母が話しを終え… 「よしやす、お父さんよ」 滅多に呼ばない名前を口にして受話器を渡してくる義母。 優しい口調とは裏腹に冷たい目付きで… 「…もしもし、お父さん?」 嬉しそうに話す由里。 『あぁ、元気にしているか?ヨシヤス』 優しい声… 「うん、元気…」 父の声を久々に聞いて嬉しくて涙が出そうになる。 『少しは背が伸びたか?好き嫌いなくなんでも食べないとダメだぞ』 発育不足の由里を心配して聞く父。 「うん…大丈夫。お父さん今度はいつ帰ってくるの?」 一番気になることを聞いてしまう由里。 『そうだな、ヨシヤスはいつから夏休みなんだ?』 「明後日から」 ぽつりと答えると… 『そうか、なら一週間後には顔を見に帰るよ』 今回はいい返事を返す父… 「ホント?嬉しい!」 いつも仕事のため帰って来られないという返事が多いから、今度は一週間後に会えるのですごく喜ぶ由里。 『あぁ、久しぶりに卓球しような』 卓球の得意な父、帰って来たら必ず遊んでくれる。 「うん、お父さん帰ってくるの待ってる!」 『あぁ、それじゃヨシヤス…またな』 「うん、またね…」 切りたくない気持ちを抑えながら…終いの言葉を話す。 「……」 父が切ったのを確認して受話器を置く由里。 「済んだならさっさとどきなさい、鈍い子!」 それを見計らったかのように机を叩いて怒鳴る義母… 「…っはい」 由里はびくっと身体を震わせながら逃げるように電話から離れる。 自分が嬉しそうにしていると、義母達は機嫌が悪くなるから… 父が帰ってくる喜びをなんとか抑えて、草取りへ行こうとする由里。 玄関で靴をはいていると、後から物音なく近づいてくる人物… ドンッ! 無言で背中を突き飛ばす… 冷たい目付きで睨むのは義祖母だ…

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