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第6話

「!?…痛っ」 急に後から突き飛ばされて玄関で派手に転んでしまう由里。 腕と肘や膝などをすりむいてしまう。 見上げると…長ほうきを持ち仁王立ちになっている義祖母… そのほうきを振り上げる。 「…っ」 由里は殴られるのかと恐ろしくなって身体を丸める。 バシっ! 義祖母はおもいきり耳のすぐ横の床へほうきを叩きつける。 「っ!」 びくっ! と、ちいさな身体を震わせる由里… 「いい気になるんじゃないよ!あんたの本当の母親はねぇあんたを産んだから死んだんだそうじゃないか」 そしてお決まりの罵声が飛んでくる。 「こんな出来損ないのあんたのせいで母親は死んだんだ、あんたが母親を殺したのと同じだろ!本当は父親に恨まれてるんじゃないのかい」 容赦なく冷徹な言葉を吐く義祖母… 「っ…ぅ」 由里の瞳から涙の雫が零れ落ちる。 『あんたのせいで母親は死んだ』 その言葉は何よりも由里を傷つけた… 自分のせいで… 「泣いている暇なんかないよ、さっさと草取りに行きな、この箱一杯になるまでかえってくるんじゃないよ!早くおいき!ったく、泣けば済むと思ってるのかね!」 義祖母は由里を追い出すようにほうきで叩き出す… 真っ暗な中、由里は渡された箱をもって歩いて畑へ行く… うつむいて、流れ落ちる涙を拭いながら… つらい気持ちを我慢して草取りを一生懸命やる。 由里が草取りをはじめてかなり時間がたったが、義祖母に渡された箱は、いっぱいにならない… いつもやっているバケツの三倍はある箱… 腕や身体がだるくなってくるが…出来なかった時のしうちの方が恐いので、言われた通りやり終えるまで続ける由里。

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