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第8話

翌朝… 結局朝まで玄関が開くことはなく… 由里は玄関の前で眠っていた。 すると突然、ガラッと引き戸が開き… 眠っている由里の服を掴んで立て掛けてある板へ投げつけるように当てる。 「っぅ!」 背中からぶつかって痛みに呻く由里だが… 「こんなところで寝てんじないよ、邪魔くさい!朝から気分が悪くなる!さっさと目の前から消えな!」 容赦なく冷たい言葉を吐く義祖母。 「…っ」 動くと身体が軋むように痛むが… 早く逃げないとさらに叩かれそうで… よろめきながら開いた玄関から入っていく… 家に上がろうとするが… 「汚い身体で入って来ないで!」 今度は義母がそう怒鳴る… 「…ごめんなさい、洗ってきます」 確かにさっき義祖母に当たられたことで手や服に土がついてしまっている。 謝って洗いに行こうとする由里… 「挨拶はどうしたの!?」 その姿を睨みながら続けて怒鳴る… 「お、おはようございます…」 びくびくしながら答える由里。 「さっさと行きなさい!」 そう怒鳴ると、由里の背中を突き飛ばす義母… 「痛っ…、はいッ」 さっき傷めた背中がズキッと痛み、涙が零れるが… 涙を拭う間もなく、何とか返事をして手を洗いに行く… そして部屋に入り、昨日出来なかった分の勉強をギリギリまでして、学校へ出ていくのだった。 そんな苦痛に満ちた日常をあらがうことも出来ず、ただ言いなりになって過ごす由里… あっという間に夏休みが来て… 由里はさらに義祖母たちの奴隷として一日中働かされる。 それでも、父親があと数日で帰ってくるため…直接棒で殴ったりする仕打ちはなくなった。 虐待の痣が父親に見つからないように、義祖母たちも考えているのだ… しかし、相変わらず由里を突き飛ばしてこけさせたりはしてくる義母たち… 由里が自分で転んだ…と理由がつけれるため、手加減はしない。 いつも膝や肘に擦り傷をつくっている由里… 手当てなどされたことがない… 怪我するたび、その痛みを我慢し、庇いながら生活していた。

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