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第10話

そして、翌朝…… 今日は、待ちに待った父が帰ってくる日。 嬉しさを隠しきれず…早くから起き出して時間がくるのを待つ由里。 父は、昼前に帰ってくる予定… いつもやらされている労働も罵声もなく、時が過ぎる。 ゆっくり進む時計のはりが11時を回ったころ… 「ただいま」 ガラっと引き戸の玄関を開きながら、大好きな父の声が響く… その声に慌てて部屋を出る由里… 「お父さん!」 駆け寄りたい気持ちをぐっと堪え、父が来るのを待つ… 父のすぐ近くには義母がいて父を迎えているから…割り込んではいけない。 「おう、ヨシヤス…元気だったか?」 部屋に上がりながら父は笑顔で由里に話し掛けてくれる。 「うん、おかえりなさい、お父さん」 由里に久しぶりの笑顔が戻る。 「あぁ、ただいま」 由里の近くまで来て頭を軽く撫でる。 由里の父は身長180㎝以上あり、顔もかなり美形…… そんな優しくてカッコいい父は、由里の憧れの的だった。 「どれどれ、よっ」 父は不意に由里の両脇を持ち、抱え上げる。 「わっ…」 小学低学年くらいの身長しかない由里だから…軽々持ち上げられる。 「うーん、前とあまり変わらない気がするなぁ…ちゃんとメシ食ってるか?」 体重を確認しながら首を傾げる父… 「う、うん…」 「この子、好き嫌いが多くて…困ったものだわ」 義母がすかさず近づいて来て会話に入る。 「そうか、ヨシヤス、かあさんが作ってくれたものを残すのは良くないぞ、世界にはな、食べたくても食べれない人たちが沢山いるんだからな、食べ物は粗末にしないこと、いいな…」 義母の嘘を信じて父はヨシヤスを床に下ろし優しく教える。 「はい…」 頷くしかできない由里。 この義母から満足にご飯を食べさせてもらっていない…などと口が裂けても言えないから… 「典之さん、食事の支度ができているから食べます?」 うまく誘導する義母… 「あぁ、そうだな、いただこうか、ヨシヤスも一緒に食べよう…」 座敷のテーブルのまわりに腰を下ろす父… 「はい」

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