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第12話

義母達には普段からつらくあたられているから… 「はい…」 しっかり頷いて父に残ったご飯を食べてもらう。 「食べ終わったらまた勉強みてやるからな…」 そう頭を撫でる父… 「うん、ありがと…お父さん」 優しく接してくれる父のことが大好きな由里。 義母の目も気になったが…数少ない父との時間を楽しむ… 食事が済んで、父と由里の部屋へ移動する。 「ヨシヤス、成績表はどうだった?」 座りながら軽く聞く父… 「うん、待って…はい」 頷いて、通知表を渡す由里。 「おぉ、よくがんばってるな、偉い偉い」 父は由里の頭を撫でながらほめる。 三段評価で由里は、ほとんどの欄が良い評価だ… いつも父に褒められたい一心で時間がなくても勉強だけは頑張る由里… 「頑張った分だけ身につくからな、頑張れる子は父さん好きだぞ」 優しく褒められてもっと甘えたいと思ってしまうけれど、義母に言われているから我慢する由里。 「うん、もっと頑張る」 「いい子だ、ヨシヤス、今日もお土産があるぞ」 父は楽しそうに鞄から袋を出す。 「うん、嬉しい!今日は何の本?」 いつも父はおみやげに歴史や推理小説や物語りの色んな本を買ってきてくれるのだ。 父からもらえるものならなんでも嬉しい由里… 急かすように聞く… 「今日はな、この3冊、まずはヨシヤスが苦手な算数が解りやすく書いてある本だ、これを見てまた頑張るんだぞ」 「うん、ありがとう!」 お土産を手にとり嬉しそうにする由里… 「塾、ちゃんと行ってるか?」 父は義母に算数の塾に行かせるよう頼んであるから、そう聞くが… 「う、うん…」 頷くが塾など行かせてもらっていない… いつも義母たちに働かされている由里にはそんな暇はないから… 「解らないところはほっておかずきちんと先生に聞くんだぞ」 「はい」 こくんと頷く… 「今日は父さんに聞いたらいいからな」 また頭を軽く撫でて、久しぶりに見る息子を可愛がる父… 日中は父と話しをしたり勉強を見てもらったりしてのんびり過ごす。 いつも怒る義母も義祖母も邪魔をしにこないので父との時間を楽しむ… 「よし、合格!偉いな全問正解だ!」

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