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第14話

「はい」 父の優しい言葉に嬉しくて涙が出そうになる。 「よし、少し休憩しようか、ヨシヤス」 「うん」 由里の返事を聞いて…父は外の椅子に移動し座って休憩する。 「いい天気だな…」 父は深呼吸しながら呟く。 由里は父を見て、気になることを聞く。 「お父さん、いつまでここにいてくれるの?」 また仕事の為に行ってしまう父。 それはよく分かっているけれど… できるだけ長く一緒に居たいから… 「…今回は、明後日の朝には戻らないといけないんだ…」 少し答えにくそうに伝える。 「あさって…」 思ったよりも滞在日が短くてがっかりする由里。 「すまないな、たまにはゆっくりしていきたいんだが…父さんの仕事は大切な仕事だから、ほっておく訳にはいかない…分かってくれな…」 優しく頭を撫でながら言う父に… 「うん、分かってるよ…帰って来てくれるだけで嬉しいから…」 「…あぁ、本当にいい子だな…ヨシヤスは。自慢の息子だ」 「…お父さん」 父の言葉に、微笑む由里。 「そうだ、明日はかあさんと三人で買物にいこうか、欲しいもの買ってやるぞ…」 思いついたように言う父。 「……」 それを聞いたヨシヤスは、一瞬固まる。 義母と一緒… 「どうした?」 「…明日は、登校日だから…学校いかないと…」 本当は父と出掛けたいけれど… 義母さんの邪魔はできない。 父はどうしても自分のことを構うから…そんな様子を義母にみせるのが恐い由里。 以前、一緒に出掛けた時に、嫌というほど思い知ったから… そう嘘をつくしかない。 「そうなのか…?」 「お義母さんと行ってきたらいいよ」 心とは裏腹に微笑んで…そう伝える。 「そうだな…学校何時に終わるんだ?迎えにいこうか?」 「ううん、大丈夫…」 「そうか…ならおみやげ買って帰るからな…」 優しい父… 本当は一緒に行きたい…

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