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第15話

「…ありがとう」 切なく頷く… 「…ヨシヤス、かあさんと仲良くやれているか?」 不意に聞く父… 「…うん、義母さんは優しくしてくれるよ」 心配はかけられないから… 絶対にいじめられているなんて言えない… 「ならいいんだ、お義祖母さんにはキツイことを言われることもあるだろうけど…我慢できなくなったらいつでも電話してきたらいいんだからな…」 義祖母は父を嫌っているため、今日も姿を見せていない… だから由里にも辛く当たることは分かっている父… 「うん、大丈夫だよ、ありがとう…お父さん」 勝手に電話を使うことなんか出来ない… 頼んでも義母が許してくれない… しかし、父の前ではいい母親を演じる義母だから… 由里を虐待しているなど思いもしないのだ。 「…なら、もうひと汗かいて戻ろうか」 立ち上がりながら言う父。 「うん」 頷いて再びまたしばらく卓球をして過ごす。 由里にとっては父との時間は夢のようで…あっという間に時間が過ぎてしまう。 家の中に戻った父親と由里… 夕食の時間まで、テレビを見て過ごす。 そこへ義母が声をかけてくる。 「ヨシヤス、ちょっと手伝ってくれる?」 優しい声で呼ぶ… 「は、はい…」 びくっとして答える由里。 「えらいな、手伝いできるのか…」 優しく頭を撫でる父… 「…うん、行ってくる」 「ありがとう」 やってきた由里に優しく声をかける。 父の前では優しく接する義母… それが余計恐い由里… 笑顔の中にどれだけ怒りが隠されているのか… それが恐くて… びくびくしながらついていく由里。 台所の奥に入って父の姿が見えなくなると、急に義母は豹変する。 由里の髪をぎゅっと掴んで、怒りに変わった顔を近づけ… 「いい加減にしなさいよ、典之さんに甘え過ぎなんだよ、分かってるわね」 父に聞こえないよう、耳元で小声にして脅すように言う義母… 「…ごめんなさい」

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