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第20話

義母が腕を組み睨んでいる。 「お腹が痛い振りなんかして、女々しいったらないわ、そんなに典之さんに心配かけたいのかしら?」 義母は近づいて来て、由里の髪の毛をわし掴みにして、威圧するよう言葉を吐く… 「ちが…」 振りなんかじゃなくて…本当にお腹は痛くなったのに… 義母に怒鳴られ余計、腹痛が重くなる。 「あんたなんか、荷物にしかすぎないんだからね、典之さんと私の間に子どもができたらあんたなんか見捨てられるんだから!」 見捨てられたくない… 「っ…」 義母に怒鳴られ、床に身体をまるめ震える由里。 言い返せるわけもなく…その暴言にぎゅっと痛む心に耐える。 「存在することが憎い…あんたなんか、生まれてこなければよかったのよ!」 激高した義母は冷たい言葉を言い放つ、しかし義母の怒りはおさまらず、続けて由里に襲い掛かる。 「なんの役にも立たないアンタなんか、さっさと死ねばいいのよ!」 本心なのかキツく睨みつけて義母は由里を追い詰める。 『死ねばいい…』 生きることさえ否定された… でも…それでも自分は生きているから… 義母を怒らせないよう。 役に立てるように働くしかない… 胸が締め付けられて苦しくて仕方ない気持ちを…無理矢理押し込めて考えないようにする。 「ようやく行ったようだね、あのろくでなしは」 不意に二階から降りて来て言葉を出す。 義祖母だ… 由里はその声にビクッとする。 「お母さん、典之さんはろくでなしなんかじゃないわ」 義母はそう否定する… 「あんたも騙されてんだよ、子持ちの男なんかと結婚して」 やれやれ、と溜息をつく… 「そこをどきな、ゴミみたいに転がってんじゃないよ!邪魔くさい!」 容赦なく由里の腹を蹴りあげる。 「っう、けほっこほっ」 痛みにうずくまる由里。 義祖母は、由里に容赦なく体罰をあたえる。 そして、そしらぬ顔で出掛ける義祖母… 「あんたが…あんたがいるから、お母さんは典之さんのことを認めてくれない…あんたさえいなければ…」 由里みたいなお荷物がいるから… 母の言葉を由里のせいにして、怒りをぶつける。

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