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第21話
「っ…」
畳に由里の顔を押さえ付けて憎々しく言葉を吐く義母…
「…ごめんなさい」
由里には謝るしかできない…
自分ではどうすることも出来ないけれど…
「フン、あんたの顔なんか見ていたくない…来なさい!」
ワシッと襟首を掴み、横暴に命令する。
「っ…」
義母が恐くて…従うしか出来ない由里…
「……」
引きずるように連れて来られた場所は…
農具置場になっている納屋…
いつも締め切られている内部はむわっと熱気が充満している。
「典之さんに甘えたこと、よーく反省するといいわ…あなたなんか邪魔者でしかないんだから…」
由里を納屋に突き飛ばしながら…憎々しく言い捨てて納屋の扉を閉め外から鍵をかける。
「ごめんなさい、お義母さん、出してっ、ごめんなさい」
由里は必死に謝る。
ここに閉じ込められたら…しばらくは出してもらえない。
当然ごはんも食べれない…
この前は三日間…出してもらえなかった…
孤独感が身体を震わせる。
昼間でも窓のないこの物置納屋は薄暗く…
じめっとた熱気が身体にまとわりつく。
「……」
すでに義母は立ち去ってしまった。
外から鍵を開けてもらわなくては…出ることができない…
だから義母の機嫌が直るのを待つしかない由里。
物置の端…身体を縮めるようにして、孤独感に耐える。
「お父さん…」
瞳を閉じて、父のことを思い出す。
いつも優しくて…自分の支えの父…
でも、一緒にいられる期間は少なくて…
本当はもっと一緒に居たい、いろいろ話して、運動会や参観日にも来てほしい…
義母たちは由里の学校行事など無視だから…
伝えられない思いを…
ささやかに願う由里。
寂しい気持ちを紛らわすために…
父と交わした会話を思い出しながら…
そのまま眠りにつく…
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