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第23話

つらい目にあわされても… 義母さんのこと…父さんは大事にしてるから… 『私と典之さんとの間に子どもができたら、アンタなんか見捨てられる』 義母の声が耳に響く… でも、それは… 「…嫌だ」 お父さんに捨てられたら…… そんなの嫌だ…… 『存在が憎い』 義母の言葉… 存在…って、 ぼくは…いない方がいい…? 『アンタなんか死ねばいい…』 頭の中に響く… 生きていても… 『何の役にも立たない邪魔者…』 だから…いらないんだ… 朦朧とする意識の中… つらい言葉が反芻される。 今、本当に言われているように響き… 由里を追い詰める。 『死ね!邪魔者!』 『生きる価値なんかない!』 『死んでしまえ!』 頭の中で繰り返し繰り返し、怒鳴りつける声… 声…… 声……!! 「わあぁぁあっいやっだ…やめてっ!」 何日も…薄暗い納屋に閉じ込められて、由里は精神までもが衰弱し… 幻聴や、幻覚症状まで…出はじめる。 「ごめんなさい…ごめんなさい……っ」 恐ろしい現象から逃れるため… かすれた声を無理に出して、ぶるぶる震えながら謝る由里。 『嫌なら死になさい――』 無機質な声に変化して伝える声… 『簡単なこと――』

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