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第27話
「どうするの、これ」
命の危機にある義理の息子をみて…少し慌てたように言う女性。
「知らないよ、あんたが閉じ込めてたんでしょう」
もう一人は義祖母…
義母に言い返している。
「死んだのかしら…」
義母が心配しているのは自分自身…
幼い由里の命の心配などしていない…
「そうだとしても訳を考えないとねぇ…」
義祖母もそんな冷たいことを言う。
「お母さん…」
「わたしに任せな、取り敢えず放置したらまずいから、病院に運ぶんだよ…」
由里を見つけ瀕死の状態であることを知った義母と義祖母の会話だった……
二人はぐったりした由里を近くの病院へと連れていく…。
医者にみせ、直ぐさま救命処置がとられる。
そして医者からの説明…
義母と義祖母が聞く…
「現状をお話しますと、息子様は大変危険な状態にあります。左手首からの大量出血…及び、極度の脱水状態、栄養失調…それに、身体に痣のようなあとがありました…お心あたりは?」
医師は虐待を疑い聞いてくる。
「…あの子、少し脳に障害があって…すぐに物にぶっかっていったり、自分を噛んだり頭をぶつけたり…自傷行為が頻繁にあって、私たちもどうしていいのか…」
そんな嘘をさらっと言う義母。
「今回も…突然家を飛び出したあと行方不明になって…ようやく見つけた時には…」
「どうして…こんなことに…っ」
医者たちに虐待がバレないよう義母と義祖母は二人で演技する。
「そうですか…ご家族は三人だけですか?ご主人は?」
「今は出稼ぎに行っていて…いないんです」
「わかりました、こちらも最善を尽くし治療にあたります」
義母たちは医師の疑いをうまくかわす。
「…よろしくお願いします」
病院では始終あやしまれないよう演技する二人…
由里を障害児にしたてあげて…
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