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第28話《生きたい》

由里は意識不明が三日続いたが… 四日目の朝にようやく覚醒する。 「……こ…は?」 話そうとするが…声が上手く出なかった。 喉がカラカラだ… 起き上がろうとするが… 「痛っ…」 痛みのした方を見ると…左手首に包帯が… 「……生きてる」 痛みを実感して…そう呟く由里。 とたん、涙が溢れてくる。 死ななかった安心感だけが支配して… 義母たちの恐怖なんか忘れていた。 しかし…… 「今度こそ死んでくれるかと思ったけど、ゴキブリ並の生命力だね…」 「死にぞこない、目覚めなくてもよかったのに…」 「あんた、医者や看護師と口聞くんじゃないよ!」 由里を待っていたのは、義母と義祖母の冷たい言葉… 「……っ」 辛い現実に無理矢理戻される。 この人たちは…ぼくなんか、死んだ方がいいって思ってる。 けど、ぼくは生きていたい… またお父さんと話したい。 お父さんと遊びたい… だから… 「ぼくは、死にたくない…生きていたい」 思った気持ちを呟くように言う由里。 「は、生意気いうんじゃないよ、自分から死のうとしたくせに…」 義祖母は、鼻を鳴らすように、言い返す。 「っ…」 義祖母は容赦なく死のうとした由里を責める… 「…死んでおいた方が良かったかもねぇ」 憎々しく言い、義母は… 包帯の巻かれた左手を… その傷口の上を強く握り爪をたてる。 「痛っ!や…」 ズキッと痛みが走り、由里はビクッとして嫌がるが義母は離そうとしない… 右手で義母の手を外そうとするが…

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