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第29話
義母は…その由里の右手を強く掴み、包帯の巻かれた左手首に無理矢理押さえ付け、由里の右手の爪で傷口をえぐる。
「っァぅ、痛いっやうぅー!」
あまりの痛さに叫んでしまう由里だが、義母は口と鼻を手でおおって声が出ないようにする。
処置してあった左手首から再び出血しはじめ…
由里の右手の爪から滴り落ちる。
「病院では誰とも口を聞くんじゃないよ、もし喋ったら…わかってるわね…」
義母は由里を脅し黙らせる。
口を押さえ込まれているため息が出来なくて、苦さから解放されたくて頷く由里…
「…ふん、言うことを聞きなさいよ」
義母は押さえ付けていた手を避け、キツく言う…
「っはぁ、はぁっ…っ」
由里は必死に呼吸し、痛む左手首を右手で抑える…
すると今度は、義母が由里の両手を掴んで、由里を布団へ押さえ付ける。
「痛っ、なっ…」
何がなんだかわからず…押さえ付けられ…
しかし反抗など出来ない由里…
今度は何をされるのかと…びくびくする。
義母は義祖母を振り返り合図すると、義祖母は大声でナースを呼んで病室を出ていく…
「……」
「看護師がきたら暴れなさい…」
ボソッと耳打ちするように義母は言う。
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