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第33話
「信じたくない気持ちは私も同じよ…けど」
さらっと思ってもいないことを言う義母…
典之を信じさせようと必死だ…
『……嘘だ、ヨシヤスが…?』
障害児だというのか?
確かに、発育も運動能力も五年生にしては劣っていると感じることはあるが、知能に関しては劣るどころかいつも優秀な由里…
とても信じることは出来ない…
しかし、自傷行為…?
混乱する典之…
「今は、先生の紹介でいい施設にショートステイさせてみているの、同じような子どもがいる環境の方がヨシヤスも幸せだろうって先生がおっしゃって…」
静かに伝える義母…
『……施設?家では見れないのか?』
なぜ?と問うが…
「だって、目を離したら自殺しようとする子なんて、私…責任持てないわ…」
『……っ、わかった、お前に任せる…出来るだけ早く戻るようにする…』
任された仕事がある為、現状ではすぐに駆けつけたりすることはできないから…
「ありがとう…典之さん」
いい母を演じながら…そう義母は典之を説得する。
電話を切って、義母は義祖母に…
「やったわ、お母さん、典之さん、私に任せるって。信じてくれたみたい…これであの邪魔な子どもを追い出せる」
本性をあらわにする。
「ふん、私はあの男も気に食わないんだけどねぇ…まぁ、目障りなあの子どもがいなくなればせいせいするね」
義母も鼻で笑うように答える。
由里がどんなに言うことを聞いても我慢しても、義母たちが認めてくれる日は来ない…
それどころか、帰る場所さえ奪われかけていた…。
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