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第34話
由里は施設へ移され、自傷が瀕回にあると伝えられていた為、重度棟への入居となった…
部屋を行き来するにはつねにカギがいる施錠棟。
最初に入れられた部屋は…柔らかいクッションが沢山ある部屋。
高校生くらいの男子二人と一緒に食事以外は過ごさせられる。
由里は部屋の角に身体を丸め、同じ部屋にいる男子二人に怯えていた…
一人は絶えず、うーうーと唸り声を上げ、突然叫びながら部屋の中を走り出したりする。
もう一人は…頭にヘルメットのような物を被っており、ずっと壁に頭突きをしている。
小学五年生の由里には、恐ろしくて恐ろしくて仕方ない…
たまに大声を上げる方の男子が由里を噛んだりぶつかってきたりするのでできるかぎり視界に入らないように逃げ回っていた…
そして数日間、その環境で過ごすうちに、由里も浸蝕されてくる。
叫ぶ男子のように…嫌なコトがあったら大声を出して威嚇した、叩かれれば叩き返して逃げて…身を守った…
「帰りたい…帰りたい…帰りたい、お父さん…お父さん…」
立て続けに恐くて嫌な思いをして…
由里の精神は崩れ落ちそうだった…
そんなある日、なんとか休みをもらい由里の様子を見に来た人物…
由里の父、典之だ。
本当はもっと先まで休みはなかったが、どうしても気になりやってきたのだ…
しかし、滞在は一日限定。
急いで由里がいるという施設に直接向かう。
施設職員に説明して面会を許されるが…
「鍵…?」
施設内にカギがかかっていることを不審に思う。
「安全のために鍵をかけさせていただいています、さ、どうぞ」
職員はさも当たり前のように話し、典之を案内する。
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