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第37話

「…お父さん、いつまで居てくれるの?」 ふと話しを変えるため、父に質問を投げる。 「今日はすぐ帰らなければならないんだ」 「えっ…」 父はすぐ行ってしまう。 家に帰ったら…義母さんが怒るかもしれないのに… けど、お父さんは仕事があるのに迎えに来てくれたんだから…無理は言えない… 義母さんに怒られても…施設よりはいいから… 父は、俯いている由里の頭を優しく撫でて… 「父さんがいなくても、いい子にしてるんだぞ、自分を傷つけたりしないように、約束だ」 ゆびきりをして約束する。 そして優しく伝える。 「今日帰るけれど帰ったら電話する、夜8時に電話するから待っていろよ…」 「うん、電話まってる、もう、自分で傷つけたりしない…約束する」 しっかりゆびきりする由里。 「あぁ…」 いつも一緒に居てやれないことを申し訳なく思いながらも、由里の頭を撫でて、頷くしかない父… そして少しドライブをして自宅へ着く二人。 家には義母がいた…義祖母は丁度いないようだ。 「お帰りなさい。典之さん、驚いたわ…帰っていたなんて…」 義母は驚きながら話す。 「ヨシヤスの様子が気になってな、無理を言って一日だけ休みを貰った…ヨシヤス」 連絡遅くなって悪かったな…と付け足しながら由里を連れて入る。 「はい…ただいま義母さん」 義母の様子を伺うように挨拶する。 「あら、おかえりヨシヤス…施設はどうだったかしら…」 作り笑いをしながら迎える義母… 瞳は合わせてくれない。 「お前、ヨシヤスはカギのかかった部屋に閉じ込められていたんだぞ!」 義母の軽い言い方にかっとして声を上げる父… 「典之さん、落ち着いて…施設の方がその方が安全だからって…」 「このヨシヤスのどこが危険なんだ…」 かっとしたまま言う父… 「典之さんの前だけなのよ、そうやっておとなしくしているのは!」 少し感情的になる義母… 「お父さん…」 義母と言い争うような父の姿は初めてで…戸惑いながらも止めようと父を呼ぶ由里。 「…っ、とにかく、あそこへはヨシヤスを連れていくな」 「それなら…またヨシヤスが怪我をしてもいいってコトなのね!?この子は自傷するのよ?」

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