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第44話

しかし義母の怒りはおさまらない… 由里の腕を引きずって…風呂場まで連れていく… 「か…さん…っ」 おびえる由里だが… 義母は有無をいわせず、浴槽にたまっている水の中に、由里の髪の毛を掴んで頭を押さえ付け、水の中に沈める。 「……!!」 ゴボゴボっと頭全体を沈められ、上がろうともがく由里だが… 義母は上から力いっぱい押さえ付けているため、びくともしない。 「私のいうことを聞かなかったらどうなるか…思い知りなさいっ」 いったん由里を引き上げ怒鳴りながら再び水に押さえ付ける。 「けほっげほっ!」 ムセている由里などおかまいなしの仕打ち… 義母は怒りを込め由里の顔を水に沈めたまま…左手首の自殺未遂の傷に包帯の上から爪をたてる。 じわじわと再び出血しだす手首の傷… その痛みで多量の水を飲み込んでしまう由里。 義母は由里がぐったりするまで行為を続け…その場に動けなくなった由里を捨て置き…風呂場を後にする。 「けほっコホッ!はぁ…は…」 苦しさに押し潰されそうな由里… 「お父さん…」 呼んでしまう優しい父を… ズキズキと痛む左手首…包帯は取れ血に染まる。 痛々しい傷があらわになる… 何重にも傷つけられた左手首… 『つらいことは隠さず教えてくれよ』 由里の胸に…父の言葉が…よぎる。

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