45 / 129

第45話《たすけて》

その日の晩… 夜中0時過ぎ…家主が寝静まったころ。 電話の前に小さい影… はじめて自分で父へと電話をかける由里… 義母の前では…電話などかけさせてもらえないから… こんな時間に迷惑になるとか…考える心の余裕が由里にはなかった。 昼間に水を浴びたせいで由里は風邪をひいて… かなり辛い状態で… ただお父さんに… 何度かコールがなって… 『…はい、どうした?こんな時間に…』 ようやく電話に出た父… 義母からだと思い問うが… 「……お、父さん…」 ぽつりと小さな声で呼ぶ由里。 『ヨシヤス!?どうしたんだ!?』 驚く父… 「…助けて…」 かすれた声で…精一杯の言葉を… 『え…?ヨシヤス?』 「っ…けほっ、コホッ」 抑えていたが、咳が出てしまう。 『おまえ…風邪をひいているのか?』 「なにをしてるの!?」 厳しく呼ぶ声… 由里の咳に気付いて起きてきた義母。 「っ…」 その声にビクッと身体を震わせる由里。 とっさに電話を切る。 「……っ」 「そんなところで何をしているの!?まさか、電話をかけていたんじゃないでしょうね…」 「ち、違う…喉がかわいて…」 「そんなに喉が渇いたなら納屋の溜め水でも飲めばいいわ、出ていきなさい!うっとおしい!」 そう憎々しげに言うと、家の外まで由里を追い出す… 「か、義母さん、中にいれて…けほっ」 裸足のまま追い出され、か細い声で願うが…

ともだちにシェアしよう!