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第48話

「典之さん…」 義母はそんな様子をただうろたえながら見ている。 「お前とは、戻ってから話しをさせてもらう」 典之はそう厳しく義母に言い、車を走らせる。 「ヨシヤス、つらいか…病院にいこうな…」 ぐったりする由里を助手席に乗せ…優しく語りかける。 「…病院、いやだ…お父さんのそばがいい…入院したくない…」 入院したらひどい目にあう。 由里にはそうインプットされている。 「大丈夫…入院なんかさせない、父さんと一緒に帰ろう」 「うん…」 力なくだが微笑む由里。 「……」 顔や身体には殴られたような痕… 手首は痛々しくかさぶたをつくっている… そんな状態の由里を見ると、いたたまれなくなる。 「ごめんな…ヨシヤス。父さん…気付かなくて…」 謝ることしかできない… 「…うん?」 「いや…」 そのまま病院へと辿り着く… 診察室に付き添う父。

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