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第62話
「ヨシヤス、お前は…本当のお母さんのこと…知りたいか?」
そして、ずっと言えなかった質問をしてみる。
「え…」
「……」
優しい顔で答えを待つ父。
「…うん、知りたい」
そう、しっかりうなづく由里。
「分かった…」
そう頷くと、父は立ち上がりタンスからひとつの四角い入れ物を取り出してきた。
お菓子が入っているようなカンの入れ物…。
「これは?」
「これだけは、どうしても捨てられなくてな…」
再婚するにあたって、前の妻のものを大切に持っておくのはどうかと思ったが…これだけは捨てられなかったもの…
「ヨシヤスが大きくなった時に、いつか見せられたらと思ってとっておいたものなんだ…」
そう言いながら、ゆっくり缶を開ける父。
「……」
「ヨシヤスの本当のお母さんの形見…」
その缶の中には、小さな指輪が二つと…何枚かの写真と手紙…そして母子手帳が出てきた…。
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