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第90話

「ううん…」 ゆるく首を振る。 「それと俺のネームはコウヤって言うんだ、一応、年上には先輩をつけて呼ぶように決まってるけど、俺は気にしないから呼び捨てでもいいよ」 優しく言うコウヤ。 「……コウヤ、先輩…」 そう呼んでみる由里。 「ん?」 やはり優しい笑み… 「怖かった…」 優しい雰囲気にのまれ、つい伝えてしまう。 この人なら信じてもいいと…そんな気がしたから… 「うん、そうだね…よく頑張った。俺は君を傷つけないし、ちゃんと家に送り届けてあげるから、安心して」 不安な心を包み込む優しい声… 「…うん」 その言葉に心底安心して…コウヤの胸に頬を寄せ瞳を閉じる。 すっと眠りに落ちていく…

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