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第113話
「僕…ね」
話すことを迷うように、また下を向くヨシだが、決心したように顔をあげ話し出す。
「……僕がしゃべると、学校のみんな可笑しいって、笑うんだ…」
ユウと仲良くなるために…
勇気を振り絞って自分の言葉で伝える。
「……」
聞いてみると…本当にかなりナマリがある言葉。
ちょっと驚いて、言葉にならら詰まるユウ。
「や、やっぱり…おかしいよね…でも、どうすればいいのか分からなくて…」
不安そうに身体を縮める。
「…わかったよ。教える。大丈夫、すぐ覚えられるから」
ユウは優しく微笑んで、パートナーの願いを受け入れる。
「…あ、ありがとう」
ヨシは、ぎゅッと自分の左手の手首を握りしめ笑顔になりお礼をいう。
「…ここでも、上手くいかなかったら…、僕…」
ヨシの左手首には、白い包帯が巻かれていた。
よく見ると、首筋の奥に、治りきっていない打撲された内出血の痕が…小さい身体に刻まれている。
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