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照れた顔が可愛くて、何度もキスをした。  俺、知らなかったんだ。 …………好きな子とのキスは凄く甘い。 ずっと触れられないと…… 気持ちを伝える事はないと思ってたんだ…… 「…………やっ。」 恥ずかしがる渋谷を見たら、理性はどこかへ飛んでいきそうだった。 ゴクリ…… 自分の息を飲む。 その日は煩悩と戦って、渋谷を抱きしめて眠った。 目が覚めると何故か渋谷の声が頭の中に聞こえてきた。 (ど、どうしよう!!今度は俺の声が聞こえちゃってるのか!?) 今度? ……………………驚いた。 渋谷の心の声が聞こえる…… 「今度は……って今までは?」 (嘘みたいな話だけど、昨日、急に人の声が聞こえるようになって…… 昨日は上條の声、よく聞こえたのに…… 今は全然、聞こえない!) 「昨日……俺の声も聞こえてたの?」 「きっ、聞こえてないけど!?」 (聞こえちゃった…… 上條の『好き』も……) 聞こえてたのか…… (昨日は『好き好き』言われて困ったけど、俺の声を聞かれるのは困る……!) 「俺の『好き』、聞こえちゃってたんだ……」 (ど、どうしよう!本当に聞こえてるっぽい! 違う事考えれば……? サイン、コサイン、タンジェント…… ログ、fマルg、fインバース…… シグマ、リミット、デルタ、ダッシュ、インテグラル…… えーと。あとなんだっけ?   う、うわ……! 上條、ジッと俺を見てる! 見るなよ。見ないで!!また赤くなったりしたら言い訳出来ない!!) 渋谷は真っ赤になりながらグルグル考えてる。 ………………可愛い。 「俺の声が聞こえたから、赤くなってたの?」 (…………よ、読むなよ!しまった! 昨日、一日、心の声が聞こえて…… 考えるの、やめないと! こんなに近いから全部聞こえてるはず!) 「ふーん。近いと聞こえやすいのか。」 (読むなって言ってんだろ!!) 「聞こえるんだから、仕方ないじゃん。」 驚くけど普通に対応。 「お前、なんで、そんなに普通なんだよ! 心の声が聞こえたら、テンパるだろ!? 困るよな!?」 (なんで普通!?) 「いや。困らないかな。むしろ、好都合。」 渋谷が本当に嫌がってないか、確かめられる。 ジリ…… 渋谷に一歩近付いた。 「ちょ、ちょっ……上条、落ち着け! め、目が怖いぞ!」 (な、何するんだよ! またキスして黙らせるつもりか!? 俺、キスされたりしたら……!) 触るだけのつもりが渋谷の『キス』という単語と恥ずかしそうな表情にまたしても理性がガラガラ崩れる。

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