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大学の寮生活。初めての二人暮らし。 緊張しながらドアを開けると、滅茶苦茶タイプの子が出てきた。 「俺は渋谷。これからよろしく!」 そう言って笑った渋谷はとても可愛くて人生で初めての一目惚れを経験する。 笑顔が可愛くて優しい性格。 困ってる人は放っておけないお人好し。 意外と中身は男前。 猫っ毛のやわらかい髪。 頼りない肩。目はパッチリ。 サークルはテニス。 渋谷はノンケ。見てりゃ分かる。 実は男にモテモテ。本人は全然気づいてないけど密かに男から人気があった。 誰かと楽しそうに喋ってる渋谷を見ては何度も落ち込んだ。 何も知らないアイツに冷たく当たったのも一度や二度じゃない。 自分の気持ちを伝えもせず、ヤキモチ妬いて、不機嫌になったり嫌な事言ったり、嫌われてもおかしくないレベル。 二人きりの講義室。 いつもより近い距離。 「渋谷の事が好きだ。」 ずっと隠してた思いを初めて言葉にした。 …………心臓止まりそう。 決意して顔を上げると、渋谷は真っ赤になっていた。 即答で『男なんて無理。』って言われると思ってたけど、この反応…… 「渋谷。」 肩に手を置き、見つめる。 長いまつ毛。 吸い込まれそうな目。   少し困ったように下がった眉も、耳まで赤くなってるとこも可愛くて悶えそうになる。 …………こんな顔、反則! 男って本当にどうしようもない…… 我慢が出来ず、唇を重ねる。 「どうして避けないんだよ。今のは避けれただろ。…………俺、期待していいの?」 「ぁ……う……」 困ってる渋谷、可愛い…… ヤバイ。虐めたい…… じゃなくて!! 「渋谷!俺のことが嫌いじゃなければ、チャンスくれないか? 一週間だけでいい。お試しで付き合って。 返事はその後に欲しい。」 お試しでも男同士。 断られるかもしれない…… 最後にもう一度キスをした。 「覚悟は出来てる。返事をくれ。渋谷。」 「…………い、一週間なら……」 蚊のなくような小さな声。 「え!?本当に!? …………ありがとう。俺、嬉しい。 一週間後、良い返事もらえるように頑張るから……」 『一週間だけ付き合って。』 ありえない俺の提案に…… 不憫に思ったのか、同情してくれたのか、渋谷はOKしてくれた。 絶対に天の邪鬼を卒業してやる。 『一週間』掴んだこのチャンス。 優しく大切にして少しでも俺の事、意識して貰えるように。

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