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ノンケは基本、男の目を気にしない。
言葉通りだ。
まさか自分が性的に見られてるなんて思いもしないから、どこでも脱ぐし無防備に触るし、とびきりの笑顔を見せたりする。
一緒に大学行きたかったのに心を読まれるのが嫌なのか、渋谷は先に行ってしまった。
一限目は体育の授業。A、Bクラス合同。
渋谷の姿を探す。
いた……!
ハッと気が付くと異様な雰囲気。
着替えの時、沢山の邪な視線が渋谷に集まってる。
(渋谷、今日も可愛いな。)
(もう脱いでるだけでエロい!勃ちそう!
いや。駄目だろ。
変態呼ばわりされてしまう……
全力で欲望を押さえるんだ!!)
(やば!腰、細っ!抱きしめたら折れそう。)
(………残念。今日は下にTシャツ来てるんだ。
渋谷の裸、見そこねた。)
(あー。笑ってる。すげー可愛い!!
俺もお友達になりたい。)
(渋谷のジャージ、萌え袖なんだよな。
親が多分、大きくなるからと期待してワンサイズ上を買ったんだろう。
ブカブカの服って妙に色気ある……
萌え袖、万歳!!)
渋谷の心の声だけじゃない……
色んな声が聞こえる。
全部が聞こえるわけじゃない。
渋谷の近くにいる人?
渋谷の事を考えたり、関係してる人だけ……?
離れると聞こえない。
渋谷が男からモテるのは知っていた。
でも……
まさか、こんなに敵がいるなんて……
「今日からバスケだよね?
俺、高校の時、バスケ部だったんだ。」
渋谷が友達の東 に笑いかけた。
(渋谷、天使!!笑顔可愛い!!)
(東の奴、いいな……
あんな風に笑いかけてもらえて狡い!)
(渋谷の笑顔、癒やされる。
マジで可愛いなぁ……)
思わず頷きそうになってしまう。
一応、お試し恋人期間だし……
ヤキモチを妬きそうな気持ちをぐっと我慢して渋谷の所へ行った。
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