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(ゲッ……上條…… いつも大学では近寄って来なかったのに。 やだな。近いと声が聞こえちゃう……) 渋谷が気まずそうに目を逸らす。 『ゲッ……』って酷いだろ。 一応、仮の彼氏なのに。 確かに今まではそうだった。 渋谷が誰かと仲良くしててヤキモチで冷たく当たる、そんな風にしか出来なかったから自分から声なんてかけれなかった。 「次、バスケらしいな。」 「…………上條。」 東が顔を上げる。 (珍しいな…… 上條の方から渋谷の所に来るなんて…… ツンデレはやめたのか? いつも渋谷が誰かと仲良くしてると、不機嫌になったり冷たくしてたくせに……) 東の心の声に驚く。 ………………バレてる。 そうか。東は渋谷と仲良いから、いつも見られてたんだ。気恥ずかしい思いを隠しつつ、渋谷の隣に座った。 (なんで隣に座るんだよ。 しかも近いし!腕、ぶつかってる……) なんで? 「…………好きだから。」 誰にも聞こえないように小声で耳打ちする。 (ま、また『好き』って言った…… 読むなって言ってんだろ!! やめろよ!恥ずかしい奴だな! 東に聞こえたら、どうするんだ!!) 渋谷の頬が赤く染まる。 可愛い……照れてる…… 渋谷の声にキュンとしてると視線を感じる。 (上條も渋谷も顔赤いな…… なんだ。この甘い空気は……? まさか……!まさか…… 同室なのをいい事に…… 遂に……ヤッたのか!?) 「ぶっ!ゴホゴホ……」 東の心の声に思わず、飲んだお茶を吹き出しそうになる。 (そうか。そうか。 男にモテすぎで心配してたけど、同室の上條に落ち着いたのか。 上條はヤキモチ妬きだけど真面目な奴だから、きっと大事にしてもらえるだろう……) お父さんかよ……! 東の盛大な勘違いに何も言えず下を向く。 でも、そんな風に思ってくれてたんだ……

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