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「あの……ありがとう。」
(一緒にいてくれて良かった。
上條って優しいな……)
振り向くと少し照れた顔の渋谷。
俺がいてくれて良かった……とか。
渋谷はただ単に風間が苦手なだけだったのかもしれない。
でも…………
赤く染まる頬。
恥ずかしそうに伏せる目。
好きな子の照れた顔。
その顔を見たら色々駄目だった。
ガバッ!
思わず渋谷を抱きしめる。
「ば、馬鹿っ!何してんだよ!」
慌てる渋谷。
「離せよ!こ、ここをどこだと思ってんだ!
人いっぱいいるだろ!」
(人!人が見てる!
女の子三人組がガン見してるっ!
この、馬鹿力!離せーー!!)
「ごめん。10秒だけ。」
………………俺、やっぱり渋谷が大好き。
(10秒だけって……
人に見られちゃう……
いや!見られなきゃいい訳じゃないけど……)
「や、やだ……」
涙目の渋谷と目が合う。
可愛い……
すっごく可愛い……
涙目、狡い。
キュンキュンし過ぎて胸が痛い。
ザワザワしてるから、やめないと……
でも……
まだ離したくない……
「キスしたら怒る……?」
耳元で囁くと渋谷はバッと手で口元を隠した。
…………何、その可愛い仕草。
「たっ!た、たたただの罰ゲーム?なので、お気になさらずっ!!」
そう大声で言うと俺を突き飛ばし、渋谷はダッシュで逃げていった。
(駄目!ダメダメ!!助けてー!
アイツ、恥ずかし過ぎるーー!!)
あーあ。逃げられちゃった。
………………渋谷の心の声、可愛すぎる。
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