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(やだ。上條のキス、やらし過ぎる……
立ってられない……)
少し困って涙目になってる渋谷と目が合い、胸の奥がギュッと締め付けられる。
「渋谷が好きだよ。」
「…………」
今まで言えなかった言葉。
伝えられて嬉しい。
(『好き好き』言わないで。
調子狂うだろ……
今まで無視したり冷たくしてたくせに……)
「ごめん。他の男にヤキモチを妬いてたんだ。
後は自分に自信もなかったし、気持ちがバレないように偽ってた。」
「……読むなよ。」
(そんなハッキリ『ヤキモチを妬いてた。』とか。俺、どうすればいいの……)
渋谷の赤かった顔が更に赤みを帯びる。
頬に耳にまぶたに沢山キスをする。
「や、やめろよ。」
(恥ずかし過ぎる……)
渋谷が俺の肩を押しのけてきた。
そんな真っ赤な顔で『やめろ』とか言われても……
頬に手を置き、目を見つめる。
「……………やだ?お前が嫌ならやめる……」
(恥ずかしいけど……嫌……じゃない……
抱きしめられたりキスされるとドキドキし過ぎて苦しくて……でも、嫌ってわけじゃ……
上條にギュッてされるのは好きかも……
温かくて、なんか幸せな気分に……
…………って!今のも聞こえちゃった!?
嘘!!今の無し!!
今のじゃ、まるで……!)
クルッ。
渋谷は後ろを向く。
「ち、ち、違うからな?上條。
今のは言葉のあやで…………」
耳まで赤くなって小さい声で必死に否定してる。
『ギュッてされるのは好き』
『幸せな気分』
ドサッ!
思わず渋谷を床に押し倒してしまう。
…………俺の理性ってやつは案外、簡単に切れるらしい。
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