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渋谷にずっと触れてみたかった。 …………好きな子とのハグは特別。 抱きしめたら、甘い香り。 男くせに良い匂い。 抱きしめたら照れて赤くなってるし…… キスしたら、蕩けそうな顔をしてる…… 可愛い顔を見たら、本当に体が勝手に動いた。 つい押し倒してしまったら、渋谷は今までやなない位、真っ赤になってる。 こんなの見て我慢出来る男はいるのか……   「…………触ってもいい?」 「ど、どこを……」 (え?え?触るって!? なんで、俺、玄関で押し倒されてんの!? 上條……目がやらしすぎる! やめて!俺の事、そんな目で見ないで! 触るって…………!!) 渋谷の問いかけに答えず、ズボンの中に手を滑りこませる。 (う……嘘!マジで触るの…… ど、ど……どうしよう…… 脱がされちゃう……! 心臓がバクバクし過ぎて止まるかも……!!) 渋谷は小動物みたいに震えてる。 「俺の事、怖い…………?」 「え……?」 卑怯だよな…… 心を読んで、早速、手を出すとか…… 「お前が嫌だったら触らない。」 「上條……」 (上條はこんな時も優しいんだな…… そうだ。いつも俺に優しかった………… 嫌……っていうか。 恥ずかしいんだよ…… 誰にも……触られた事ないし……) 聞こえてきた声にホッとしてしまう。 「触られた事ないの?」 「読むなよ!!」 「…………じゃ、初めて?」 「言い方!!」 (はじ、初めてとか言いやがった……! 俺の処女、狙われてる!? いや。俺は男だから……処……男??) 「ぶはっ!」 渋谷の心の声に思わず笑ってしまう。 「………………何、笑ってるんだよ。」 「笑ってない。くく……」 (あ……上條、笑ってる。 笑顔も格好いいなぁ……) 格好良い……って初めて言われた。 笑顔も……って。 じゃ、普段もそう思ってくれてる……? 『格好良い。』 女の子には言われた事あるけど、好きな子に言われるとすごく嬉しい………… 「…………それ、褒め言葉?」 「だから、読むなって言ってんだろ!」 「渋谷。赤くなってて可愛い……」 愛しくてなんかフワフワする気持ち。 赤くなってる頬をそっと撫でる。 「は、話になんねぇ!」 プイッとそっぽを向かれた。 (どうしよう。マズイ。また顔が熱い…… 俺、口説かれてる!?) 「………………うん。口説いてる。 少しだけ……なぁ。いいだろ?」 優しく渋谷のに触れる。 ビクッと震えた渋谷の体をそっと抱きしめた。 「…………ッ……あっ……」 渋谷が目をギュッとつぶる。 (しまった…………! なんて恥ずかしい声を……! だって!人に触られるって、こんなに……) 思わず出てしまった声を隠すみたいに渋谷が口元に手を当てる。 その瞬間に理性の欠片は粉々になり、全て崩壊したのは言うまでもない。

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