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第2話

「アシール、起きろ」  少年をベッドの上に寝かせながら、アントワーヌはその頰を叩いた。少年は暗くうつろな眼差しをゆっくりとアントワーヌの方に向ける。 「もう帰られたから、戻ってこい」  囁きながら、そっと少年の額に口づける。恋人にするような優しい手つきで、体に巻きついているローブを脱がせた。腕をとって、全裸にする。少年は人形のようにされるままになっていた。美しい白い肌を眺めたあと、まずは手拭いで飛び散って乾いていた精をそっと拭ってやった。  それからそっと乳首に口づける。舌で丁寧に愛撫した。乳首がくっきりと立ち上がったところで、下半身に手をやった。そちらも勃ち上がるまで丁寧に愛撫する。  それから先ほどまで犯されていたところに手を伸ばした。少し触れると、彼を犯していた男の残滓が零れ落ちてきた。丁寧に掻き出してそこも拭うと、そっと口づけた。すでに男を受け入れているからきついことはないが、そっと指で解していく。  少年の意識は戻っていないようだが、刺激には反応するらしく少年の体はびくりびくりと痙攣した。やがて大きく痙攣したかと思うと、水色に澄んだ瞳を開けた。 「帰ってきたか」  アントワーヌは笑顔を見せた。少年は途端に震え出す。 「あ…あ、あ、頭が痛い、痛い…!」  震えている少年を抱き寄せて、その背中を撫でた。 「大丈夫。もう帰られたから」  その名前を言わないのは、少年がその名前を聞くと異常に怯えるからだった。それでも少年は震えたままだった。少年から無理やりキスをしてくる。 「アントワーヌ、早くっ、いつものように抱いて。あの人が戻ってくる、怖い、怖い……!」 「大丈夫。落ち着いて」  求めに応じて、丁寧にキスをする。 「アントワーヌうっ…っ」  少年は首に手を回すと激しく口づけてきた。  儀式の後の彼はいつもこんな感じだ。普段の涼やかな表情とは違って、まるで色魔のような態度を取ってくる。完全にまだ彼自身ではないからかもしれない。 「早く、あなたのもので貫いて、あの人をここから追い出して!」  拙い手つきで、少年がアントワーヌの下半身を(まさぐ)ってくる。とっくにそこは屹立していた。少年をベッドに横たえてからではない。儀式の間中ずっとそうだった。震えて男を受け入れる苦悶に満ちたこの年端もゆかぬ少年の顔を見ながら、ずっと勃起していた。 「痛かったらやめるから言えよ」 「ああ、焦らさないで!」  強引に腰を下ろしてこようとする少年の腰を抱き寄せてゆっくり進めながら、少年の蕾に自分の半身を埋めた。少年は歓喜に満ちた声をあげる。 「ああ、ああ……奥までいっぱい…」  自分の上に腰を落とした少年の体を抱きしめる。 「動くぞ」 「ん…あっ、あ、あ、ああ……! もう、あ…あっ!」  少年の下半身が蜜を溢れさせた。そっとそこを握る。 「あ、触ったら……!」 「いくらでも()け。大丈夫だから」  アントワーヌは腕の中の少年に優しく口づけた。

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