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第4話

「天国で奴隷になるより、地獄で支配者になった方がましだ」(前掲書)  子供の頃から、他の大人とは違って外の世界を知っていて、ゆったりとした優しい笑顔の叔父はアシールの憧れの人だった。  次男の気楽さもあるのか彼はいつもふらっとどこかに旅立っていたが、帰って来ると土産片手に旅先の知らない世界の話をよくしてくれた。  そんな彼に劣情を覚え始めたのはいつからだっただろう。  今にして思えば自分の運命は昔からわかっていたのかもしれない。比較的幼いころからよく性的な夢を見て、起きると夢精していることがあった。  自分の中に時々来るあの人が、入って来やすいように自分に働きかけていたのかもしれないし、なにか子供の自分が知らないうちに儀式が行われていたのかもしれない。催淫効果のある香でも炊かれていたとか。  夢の内容は大抵覚えていないが、一度、まだ叔父と身体を重ねるようになる前に彼に抱かれる夢を見て夢精した記憶がある。その頃から自分は叔父に抱かれたかったのではないか。  そんな自分がいやだった。こんな家に生まれたからって、自分が身内にそんな欲望を持っているなんて。  でもそれで、気づいたのだ。優しい笑顔の下で叔父も、また自分と同じ眼差しで自分を見ていることに。

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