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予兆 1 菅井side
菅井side
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トントントントン
心地よい音が微かに聞こえる。とても懐かしいような…どこか安心するような……。
「ん?」
目が覚めた。さっきまでのは夢だったのか?いや、今も規則正しい音は聞こえてくる。
起き上がると枕元には服が綺麗に畳んで置いてあり、それを着て俺は寝室を出た。
「ぁ、おはようございます。起こしちゃいましたか?」
台所から顔を覗かせた俺の恋人は、和かな顔で俺を迎えてくれて。少し申し訳なさそうに言う姿も愛おしい。
「おはよ、これ、用意してくれたの和だろ?ありがとな。」
自分の服を引っ張りながら言う。
「いえいえ、僕の方こそ服借りちゃってます。」
「ぶかぶかだな、」
「………皮肉ですか?」
「いや、褒めてる。」
和の身長は確か160cmいかないくらいだった。それに比べて俺は180cmだ。この身長差も堪らなく愛おしい。
「それ何作ってんの?」
規則正しい音の正体は和が料理している音だった。
「菅井さんのご飯、できるだけ僕が作ろうと思って。冷蔵庫見た感じ自炊してなさそうだったので…。」
やばい、かわいすぎる。どうしようもなくなり後ろから抱きつく。
驚いたのか和は少し肩を震わした。
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