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開始 2
「ど、う…?」
朝、浩の診察を受ける。
「ん、調子悪いとこないか?」
聴診器をあてながらそう聞かれ、
「平気!」
そんな僕をみて、ひと息おいて、浩が言った。
「まぁ、大丈夫だろ、学校行っていいぞ。」
「ほんとに!?」
「ああ、点滴外すからちょっと待ってろ。」
今日は始業式である。ここ数日体調を崩していたが、なんとか間に合ったようだ。針を抜いてもらった後、着替えていると、インターホンが鳴った。
ピンポーン……
「こんな朝早くに誰だ?」
浩が出て行こうとすると外から声が聞こえた。
かーずーくーん、はーやーくー
この声は…
どうやら声の主は、隣の僕の部屋の前で、待っているようだ。浩も誰が来たか気付いたようで、寝室に戻ってきた。
ピンポンピンポンピンポンピンポーン…
隣の部屋のだから少し音は小さいが、この連打は何度聞いても慣れない。
「朝から元気だな。」
浩は苦笑いしながらそういう。
僕はさっと制服を着て、ドアを開けた。
「開生、うるさい。」
「おう!おはよ!って、あれ?そっち?」
僕が隣の部屋から出てきたことに驚いているのは、杉元開生 中学からの親友である。
「開生、おはよう。」
部屋から浩も出てきた。
「あ、菅井さんおはようございます!もしかして、和、また体調崩しました…?」
開生は、浩が僕の専属の医者になっていることを知っている。
「ちょっとだけな、点滴もしたから大丈夫だと思うんだけど、何かあったら頼む。」
浩も、僕と開生が中学以来の仲だと知り、開生を弟のように可愛がって信頼している。
「和も病み上がりなんだから、無理すんなよ?」
「うん、いってきます。」
「ん、いってらっしゃい。」
そういい、浩は僕に触れるだけのキスをした。
「はっ!?えっ、え!?」
「じゃあ開生、和を頼んだぞ。」
驚いている開生に浩はそう声をかける。
「えっ、あ、ええ、はい!」
開生の返事を聞くと、浩は部屋の中に戻っていった。
「開生、行こ。遅刻する」
目を見開いたまま、ぼーっと立っている開生に僕は声をかけた。
「お、おう!」
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