16 / 100

開始 3

「で、何?さっきの!」 少し大きめの声で開生が言う。僕は開生の自転車の荷台に乗せてもらっていた。 「付き合うことになった。」 「え!?なんて!もっとでかい声で言って!」 少し息をきらしながらそう言う開生はサッカー部で脚が速い。その脚力で既に高校付近に差し掛かっていた。たくさんの学生の中を割いて爆速で2ケツしながら大声を出している姿は、目立たないはずがない。 「……はずかし…。」 僕は顔を隠すように開生の背中に押し付けた。 「おおっと!あっぶね!和!急に動くな!」 「よし、着いた、余裕だな。」 「ん、ありがと。」 駐輪場に着いた僕らは、さっそく人だかりへと向かう。 「2年はあそこだな。」 下駄箱の前にあるでかい掲示板に貼り出されているのは、新しいクラス名簿僕の学校では、1年生は通常だが2年からは進路別にクラスが分かれる。 特進科が1組、普通科が2組と3組、工業科が4組。そして、航空科が5組である。 4組と5組は、志願制で、僕も開生も航空関係に進みたいため、互いに5組な事は必然的に決まっていて。 「見にいかなくてもいいんじゃない?」 僕はそう言うが、開生は止まらない。僕の手を引っ張ってどんどん人混みの中を進んでいく。 「貼ってあるんだから見ないと損だろ?」 そう言って満面の笑みを浮かべてくる。 「…よく分かんないよ…。」 「理解してもらわなくて結構!」 クラス名簿を見終わり満足した開生に相変わらず腕を掴まれたまま、教室の前まできた。 2-5 と書かれた扉を開けると、もう既に半分以上が着いていて。 「お~!和、開生、おはよ~!」 「おはよう。」 「おはよ~!」 新しい顔ぶれもある中、去年のクラスメイトもいて、順に挨拶を交わしていく。 「お!席前後だな、ラッキー!」 教卓に置かれた座席表を見て開生が嬉しそうにいう。 僕も見てみると、僕は17番、開生は18番だった。 「おはよ~う、早く席に座れ~。」 「あ、おはようございまーす!」 のんびりとした先生の声が聞こえて、僕らは自分達の席についた。

ともだちにシェアしよう!