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変化 2
「…どう?」
僕は真剣な眼差しで浩を見つめていた。まるで試験の合否発表を待っているような緊張感。そうすると浩は柔らかい笑みを浮かべた。
「すげえ美味い。」
浩の言葉に体の力は抜ける。
「よかった…。」
今まで身売りの客に対して作っていた時は自信があり、それほど気にしてはいなかったのに。相手が浩となれば、浩の口に合うかとか色んな事が気になってしょうがない。
「和の作る料理は本当に美味い、完全に俺の胃袋掴まれてる。」
そんな浩の言葉にただただ嬉しくなった。
「じゃあ、僕も…いただきます。」
浩の半分とまではいかないものの、僕は自分の分のご飯もちゃんと盛っていた。それを見た時、浩は嬉しそうに僕にキスをしてくれたんだ。
ちゃんと完食しなきゃ…。
僕のスピードに合わせて浩もゆっくりと食べてくれる。今日の始業式の話をしたり、たわいも無い話をしながらゆっくりと平らげていった。
「はぁっ、、ぁ、、かはっ!はぁっ、はっ、」
「大丈夫だ、ゆっくり息しろ。」
あの後すぐに、僕は食べたものを吐いてしまった。浩に背中をさすって貰い、全て吐ききった僕は、まだ息があがったままで。浩は僕を抱えてベットまで運んでくれた。
「はぁっ、、はっ」
「和、点滴するから、ちょっと腕の力抜けるか?」
腕を浩に撫でられ安心感に包まれる。少しの痛みも無く処置が施され、しばらくすると呼吸が楽になってきた。その間もずっと浩はベッドに腰掛け、僕の頭を撫でてくれていたのだった。
「浩っ。」
「んー?」
「また迷惑かけて、ごめんなさい…。」
困った様に浩は笑う。
「心配するな、今日はもう寝な?」
段々と重くなってくる瞼に浩はちゅ、っと唇を落としてくれて。それは睡眠薬のようで、僕はすぐに眠りについた。
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