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向風 1 浩side
「おかしいよ。」
俺の携帯の画面を見るなり、陸はそう言った。和がいなくなってから数日後、なんとか正気を持ち直して真っ先にこの事をこいつに伝えた。
「何がだ?……いっ。」
ほとんど眠れてない自分に、栄養剤注射をぶっ刺す。
「ほらもー、苛々するからそうなるんだよ。思ったんだけど、栄養剤より睡眠薬打った方がいいんじゃない?馬鹿なの?浩くん?」
「ぁあ''?」
バッと睨みつける、こいつはいつも余計な言葉が多い、多すぎる。
「それ、幼馴染に向ける目じゃないよ?ああ、ごめんって、でさ、話を戻すけど。まず、いきなり真夜中に出て行って、結婚しますってメール送ってくるかなぁ。あとさ、玄関に和くんのパソコンが落ちてた、なんか妙だと思わない?でもって、あのお人好しな和くんが浩を急に置いて、そんなことするかなぁ?」
確かに、何だか腑に落ちないところはあった。パソコンが落ちてたいたのも、玄関が閉まりきっていなかったのも、何故あんな時間だったのかも。
でも、
「実際に和からそのメールが送られてきたんだ、俺は受け入れるしかないのか…?」
はぁ、とため息をつき頭を抱えた。
「送った相手が和くんじゃない、っていう可能性もあると思う。連れ去られたって考えたらしっくりこない?」
連れ去られた───。
その言葉に顔を上げる。
くいっと片方だけ口角を上げた陸と目が合った。ああ、これは、陸の鋭い詮索力に頼れそうだ。
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