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向風 2
「起きて、和。」
優しく揺すられて、目をこすると、内田さんはにこりと笑う。
「……大丈夫?」
そう聞かれ、何が大丈夫なのか考える間もなく、身体に痛みが走った。
「……っう、」
「ごめんね、痛みでうなされてたみたいだから起こしちゃった、鎮痛剤打っといたんだけど、腰の傷が熱持ってきたみたいだね、服捲るよ。」
そう言いながら、僕の腰に表面麻酔薬を塗っていく。冷たい手が熱い皮膚に触れ、少し安心する。
「綺麗に痕残りそうだよ。」
愛おしそうにその傷に触れる内田さん。ああ、名前彫られたんだっけ…。
凄く嫌な事なのに、それがどうでもいい位に体が重い。
「ぅ、ちださん…。」
声を出して初めて分かった。喉も凄く枯れて痛い。
「ん?」
傷を撫でていた手が、頬をなぞった。
「からだ、だるい、です…。」
ふと内田さんは微笑む。
「もう少し寝る?今夜に備えて、ね?」
「今夜…?ぁっ、んん」
覆いかぶさるようなキス。少し抵抗する僕に躊躇することなく舌が割って入ってきて、錠剤が押し込まれる。
「菅井浩の名前は出さないこと、逃げようとしないこと、毎日俺とセックスすること。まずはこれから守っていこうか。」
「えっ、そんなっ…」
「守れるよな?簡単だろ?俺に従ってさえいれば、菅井浩を殺したりしない。」
変わる雰囲気に僕は身震いする。
「躾部屋にだって行きたくないだろ?」
躾部屋────。
ンンッ……ァ…ァァァアっ…!
内田さんもう抜いてっ、どこっ、ぁあっ!
ヴーーーーッ
もう、イキタクナイ
ァアア''……
────
ガン、と頭が響く。振り払おうとしても消えない記憶。
「もう、行きたく、ない…。」
「ん、和なら守れるね、えらい子だ…。」
ゆっくりと頭を撫でられると同時に、何故か瞼が重くなってきて、僕はまた深い眠りについた。
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