60 / 100
依存 2 内田side
「ご依頼は佐伯和さんの体調管理で間違いないっスか?」
依頼、体調管理、その単語で思い出す。最近和の調子がおかしい事が気になってBARのマスターに薬売りを紹介してもらっていたのだ。確かに住所をマスターに伝えていたが、この2人はいきなり部屋に入って来た。警戒心が解けないわけがない。
「待て、君たちは一体…、」
「あれ?もしかしてまだ疑ってます?そう言えば自己紹介がまだだったスね…」
そう言うと2人は上着を脱ぎ出して、左胸をさらけ出した。
「………っ!」
「俺たちレデルのもんっス。俺はケン。こちらが頼斗さん。」
レデル───…。
レーラ・デッラ・ルーチェ、光の時代。
恐らく裏社会で知らないものはいないだろう組織だ。この男達は間違いなくその組織の一員。左胸に焼きついた太陽を象った焼印がその証拠だ。初めて本物を見るが、痛々しい。俺の反応を見てかケンが口を開く。
「その反応だと知ってるみたいで、よかったっス、ねえ頼斗さん?」
「ああ。このレデルがバックにつくからには安心しろ。依頼はきっちり果たしてやる。それに、お前の話しだとどうやら佐伯和の事をバカ弟が追ってるみてえじゃねえか。つう事は、キアロが絡んでる。面白れぇ、全力であいつらからあんたらを守ってやるよ。」
「……キアロってなんだ?」
どこか楽しそうにそう言い、タバコを吸い始める頼斗の顔は、やはりスウェットの男と瓜二つだった。その顔に不快感を覚えつつ俺は聞いた。
「知らねーのか?キアロスクーロ、俺たちレデルに対抗しようとしてる偽善者組織だ。そこにバカ弟もいる。あいつらのせいで、こっちの貴重な人材が減るわ、取引が潰れるわで散々だ。おおっと、話しすぎだな、俺たちの話はここまでだ。早速依頼の患者サマ診せてもらうぞ。」
そして頼斗は俺を通り越し、和が横たわるベットに腰掛けた。
ともだちにシェアしよう!