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洗脳 1 内田side
レデルの2人がここに来てから1ヶ月が経った。あれから和にはクスリを使っていない。与えなくなって暫くは、暴れたり手首に自分の爪を立てたりしたので、拘束具もかなり短くしてベッドに繋いだ。食事や排泄も完全に管理して、俺は片時も和から離れず看病した。最近になってやっと、暴れたりしなくなったので、首輪以外の拘束具は外し食事や排泄、風呂も俺の監視の元、自分でさせるようにした。
そして、あれからセックスは一度もしていない。それも含め、健康状態は良くなって来たと思うのだが、人形のようにほとんど喋らなくなった和は、以前よりも消えてしまいそうな危うさがあり、俺は暇さえあれば和を抱きしめていた。
今も、ベッドの上にちょこんと座る和を後ろから抱き締めている。もう彼此(かれこれ)1時間は経っただろうか。それでも飽きずに身体の温かさを感じていると、和がぽつりと何かを呟いた。
「うん?」
「……くす、り…。」
後ろから顔を覗くと相変わらず目はぼんやりとしたままで。無意識にクスリを求めているのだろう。クスリの怖いところは完全に断ち切ったと思っても、また求めてしまうところだ。そしてその欲求は一生続く。
「薬はもうダメだよ。ごめんね、でも和の為だから。」
そう言って頭を撫でながら、更に強く抱き締めた。
そしてこの1ヶ月で気付いた事がある。
和は以前の記憶が曖昧になっていた。試しに菅井浩の名前を出してみても、何の反応もなく忘れてしまっているようだった。クスリを使って悪い事だけではなかった。俺の作戦は完全に成功したのだ。もう誰にも邪魔されない、2人だけの世界で甘い日々を送ることができるのだ。
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