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おかえり? 9 浩side
いつものように一緒に布団にくるまると、俺の胸に頬ずりをしてくる和。その仕草が可愛くて、腕を和の背中に回し、子どもにするようにトントンと優しく叩いてやった。
そうするうちに和の身体の力が抜けていく。覗き込むとその瞼が閉じていくのを確認した。
ザァァァ……
俺も寝よう、そう思っていると、ふと、外から風によって木々が揺れる音が聞こえてくる。少し強い風。早めに部屋に戻っていてよかった。外は先程よりも冷えているのかもしれない。
隙間を埋めるようにしっかりと毛布を掛け直したその時、強い風の音と共にガタガタと襖が鳴った。
「何っ…!?」
「和…?」
突然ビクリと体を震わせ、目を見開く和の過敏な反応に俺も少しびっくりして、苦笑いをした。
「今夜は風が強いみたいだな。寒くないか?」
「っ、ぁ…」
そう聞くが、なんだか様子がおかしい。
「……どうした?」
寒いにしては異常な体の震えに、俺は眉を寄せた。手をガタガタと震わせ、息が浅くなっている。目を少し彷徨わせて、それから固く閉じてしまった。
「和っ…?」
頬を両手で掴んで、こちらに顔を向けさせようとしたが、今度は耳を塞いでしまう。一体どうしたというのか。一瞬俺を拒絶しているのかと思ったが、違う。見えないものに怯えているような…。
「……っ!」
これには心当たりがある。以前よく夢に魘(うな)されている事があった。様子としてはそれに近いが…、今は起きている状態で…。
「ぁ、ぁぁぁぁぁぁあああああ''────!!」
ビリビリと脳に響く叫び声。目を見開いて、パニック状態に陥っている。こんな時は……
「かず!!しっかりしろっ!!俺の目を見ろ…!!」
俺は和の肩を強く揺すった。必死の呼びかけも虚しく、和は電池が切れたみたいに目を閉じてぱたりと倒れる。まだ息は荒く、汗をびっしょりと掻いていて。何か拭くものを…と思って、やめた。この状態で和を1人にするのは気が引けるからだ。そして、電話をかけようとした時、蚊の鳴くような声がはっきりと俺に聞こえた。
「ゆるして…、内田、さん…。」
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