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僕と影 6
な俺は望まれない子だった。
そして何よりも、俺が母を殺したという事実が深く胸に突き刺さった。
『僕なんて、産まれてこなければ…』
バチン───。
乾いた音が響いた。
気付いたら、顔が横に向いていて。左頬がじんじんと痛む。
『そんな事言うんじゃないっ…!!母さんは望んで和を産んだ!自分を犠牲にして!自分の命よりも壱の事が大切なんだよ…!それは父さんだって同じだ…!』
ああ…俺は父さんも泣かせてる。さっきの人も、泣いていた。みんなを不幸にしてる。
『僕は…どうすれば…。』
どうしたら、いいの?もう、分かんないや…。
つぅ、と頬を涙が伝う感覚がした。
それを父さんは指で拭ってくれて…。
『…今日の事は、忘れてしまいなさい。』
『わす、れる…?』
『ああ…。これはただの悪い夢だ。』
『ゆ、め…。』
『起きたらきっと忘れてるから…。』
だから、眠りなさい。
そう言われて、背中を優しくさすられると、不思議な事に段々と眠気が襲ってきて…。
そして、俺は知らず知らずのうちにその日の事を、人殺しであるという事を、封印した。記憶から消したのだ。
しかし、それは逃れる事の出来ない事実だった───。
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