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僕と影 11
パタンと閉じられた扉を確認し、俺は壁に寄りかかるようにして、ズルズルとその場に座り込む。
先程から、男の言った声が、頭の中でずっとリフレインしていた。
───“これは相当価値あるな。”───
価値がある。それは、俺は必要とされている、俺の存在が認められている。そんな魔法の言葉のように思えた。
そして、怖いとは思ったが、先ほどの無理矢理の行為。それさえも、俺を求めてくれているような気がして、寂しい心が少し満たされた様な気がした。
欲しい。
あの感覚が。
誰かから必要とされたい────。
───“商売でもさせたらすげえ儲けられそうじゃね?”───
じっとはしていられなくて。俺は財布と携帯だけを持って、直ぐに家を出た。
疼く身体に鞭を打って、駅まで走り、電車に乗った。誰かが欲しい。もうその事しか考えられなくなっていて。
ひと駅だけ乗って直ぐに降りる。そして、改札を出て、辺りを見渡す。誰か。誰か…!
ふと、目に入った優しそうな人。俺は咄嗟にその人の腕を掴んで訴えたのだった。
『僕を…僕の体、買って下さいっ…。』
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