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僕と影 12

それが内田さんとの出会いだった。 内田さんは驚きながらも、俺を買うと言ってくれて。俺は性急に内田さんを家に招いた。 それからの行為はあっという間で、目が覚めると朝だった。初めての挿入は意識を失ってしまってほとんど覚えていないが、心が満たされていく感覚はしっかりと残っていて。その後も、内田さんとは頻繁会うようになり、その度に快楽に溺れていった。俺をレイプした男たちや、内田さんに幾度となく囁かれた自分の魅力を、最大限に利用して。内田さんだけでなく、他の男も求めるようになっていく。 その沼に引きずり込まれるのは、あっという間だった。 誰かから必要とされたい。その一心で俺は取り繕うように人と接するようになる。俺を求めてくれるのなら…。男の性欲処理の為に身体を開くことに躊躇はしなかった。どんどんその行為がエスカレートしていっても。SMプレイ、窒息プレイ、水責め、飲尿だって…。苦痛を伴うものでも、甘々なものでも、俺を求めてくれている、その事実が何より心を満たしてくれた。 望まれない自分をかき消す事に夢中で。それでも俺を追いかけてくる影は消えなかったのだ。 ──逃げるな…人殺し…お前さえいなければ…。── 憎悪に溢れた影が、追いかけてくる。 そんな悪夢にうなされるようになった。 得体の知れない恐怖と不安。 けれど、誰かに抱かれている間は安心する事が出来た。 それはいけない事だと心ではちゃんと分かっていた。自分は穢れているとも。特に学校ではそれが突きつけられる。自分とは違う、真っ直ぐな高校生たち。自分は、汚い…。 それでも、抱かれることは辞められなくて、自分が崩れ堕ちていく感覚に知らないフリをした。 それでも消えない影。 行為は更にキツイものになり、回数も増え、体力は削がれていって。その時は満たされても、1人になるとまた不安になり、悪夢にうなされる。そして、また抱かれる。 そんな最悪のループに浸かっていて、その頃にはもう抜け出すことは出来なくて、精神的にもボロボロだった。 そんな時だった。 真っ暗な影に覆われていた俺の世界に、一筋の光が現れのは…───。 『お前が好きだ。付き合ってくれ。』 それはあまりにも真っ直ぐで眩しすぎた。 駄目だ。 こんなにも汚い俺が、この綺麗な光を汚してはならない。だから、俺は、その差し出された手は取らない。 はずだった。 愚かな俺は頼ってしまった。 『俺は、和の不安とかを全部取り除いてあげたいって思うんだ。和を救ってやりたい───。』 真っ直ぐな光は何度も手を差し伸べてくれて、俺を暗いところから引っ張りだしてくれたのだ。 それなのに、俺は… ─── ────
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