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僕と影 14

少しは自分の罪を償えるだろうか。そう思うと、心が少し軽くなった気がしたのに。 「やだっ!!やめて…っ!!」 押し倒されて、カッターをもぎ取られる。取り返そうとして手を伸ばすが、今度は両手を片手で押さえつけられてしまった。 「い、痛いっ…!」 必死に抵抗するけど力は敵わない。 「ちっ、暴れんじゃねぇよ…。」 乱暴な口調にビクリと体が固まってしまう。その隙に浩は自分の腰帯を解いて、そして、僕の両手を拘束した。その感覚で思い起こされる内田さんとの記憶に体が勝手に震え始める。 「解いて…おねがい…。」 「泣くなよ…。どうして死のうとした?理由を言えよ。納得出来たら解いてやる。」 真っ直ぐ僕を見据える目。逸らすことは出来なかった。 「僕は人殺しなんだ。僕を生むのと引き換えに母さんは死んだ。その事がキッカケで、母さんの親も自殺した。」 「……。」 「それだけじゃないよ。知ってると思うけど、僕は自分の心を満たす為に色んな男の人とセックスした。皆んな僕に好意があるのを分かってたけど、知らないフリをして、たくさんの人を弄んで利用した。内田さんも…。そして…、浩も。僕は浩の優しさを利用したんだよ?けど、浩はこんなにも汚れた僕を大切にしてくれたよね。…でも、そんな貴方も僕は殺そうとした。」 「だから、それは…」 「僕はこれ以上、誰も傷付けたくない!僕がいなければ母さん達は死なずに済んだんだ…。それに、僕と出会わなければみんな幸せに過ごせてた。だから、そもそも生まれてきたのが間違いだったんだ。」 「それで、死にたいって…?」 「うん、充分な理由でしょ?僕なんて、生まれてこなければ良かった…!」 そう言った瞬間、ばちん、という大きな音がして。ああ、叩かれたんだ、と思う。不思議と頬は痛くないのに…。心臓は締め付けられる様に痛かった。

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