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僕と影 15

「いい加減にしろ!!自分の命をなんだと思ってる!生まれてきた事が間違い?お前は、お前を生んでくれたお母さんの気持ちを無駄にするつもりか!」 「……っ!」 「お母さんの事、お母さんの家族の事、和のお父さんに聞いたよ。和が叔父さんに言われた事も。」 「だったら、分かるでしょ…。僕が望まれない子だったって…」 「違う。」 「もう!離して…!」 「逃げるな、ちゃんと向き合えよ!」 そう言って、更に体を押さえる力が強くなった。苦しい。心が、苦しい。 「和のお母さんには、和を堕ろして自分が生きる道もあった。でも、お前を生んだんだ。この意味、分かるだろ?」 浩の言おうとしている事は分かる。父さんにも言われた言葉。僕の事が大切だから、母さんは僕を生んだ。僕は望まれて生まれた子だって。父さんも僕を想う気持ちは同じだと。 でも…。そんなに大切にされてきたのに… 「こんなに落ちぶれちゃった…、今更、誰も愛してなんかくれない…。」 親に貰ったこの身体を粗末に扱って、他の人を利用して、そして、大切な人を殺そうとして…。見放されたっておかしくない。 「俺は、どんな和でも愛してるよ。お前じゃなきゃだめなんだよ。分かんねえのかよ!愛されてるって…!」 「でも、僕は…」 「自分を卑下する言葉なら、聞かねえ。お前の本当の、心ん中の気持ちを…俺にぶつけてみろよ…!!」 ぽたり。 雫が額に落ちてきた。 ハッとする。潤む瞳が真っ直ぐに僕を見つめていて。 …きれい。 浩は…、上辺なんかじゃない、心で僕と向き合ってくれている。だから、僕も… 「すき…っ、」 言った瞬間に涙がぶわりと溢れてくる。一度出るとそれは止まらなかった。 「好き…っ、浩の事が…っ…でもっ、…でも、、ぅぅ…。」 「ああ…。」 頬を両手で包まれて、そして、浩は額をコツンと合わせてくる。待ってくれている。続く言葉を… 「あなたの…手を、取るのが怖い…。」 ────貴方を傷付けたくない…。 しっかりと伝えた。これが僕の本当の気持ち。

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